とりあえずざっと洗って出てくると、
シュウトくんはおらず、カナトさんの姿もなかった。
紗奈
(…あれ…2人ともいないや…)
紗奈
(…まあカナトさんは私より派手に汚れちゃってたからな…。…シュウトくんは…どうしたんだろ…)
紗奈
(…まあいいや。とりあえず、ここで待っていれば、帰ってくるだろうし…)
イスに座り、ぼんやり待っていると、
さく、さくっと足音を立てて、知らない男性二人が近づいてきた。
紗奈
(……?)
ナンパ男
あれーお嬢ちゃん一人ぃ?
ナンパ男
ねーねーじゃあ俺らと一緒に花火みようよ
ナンパ男
人気のないところで、ねっ?
紗奈
……!
ばっと手をつかまれて嫌悪感が走る。
紗奈
やだ…離してよ…!
ナンパ男
お、元気いいねぇ…。俺、君みたいな子好みだな~
ナンパ男
ほら、ほら、俺らと一緒に行こうよ~
カナト
……俺の連れに何か用ですか
少し切れ気味の表情で
ナンパ男の腕を締め上げるカナトさん。
紗奈
…カナトさん…
私はささっとカナトさんの後ろに隠れた。
ナンパ男
くそっ彼氏づれかよ
ナンパ男
ちっ…いこうぜいこうぜ
紗奈
……
カナト
大丈夫?紗奈ちゃん…。ごめんね一人にしちゃって…
紗奈
う、ううん…
紗奈
助けてくれて、ありがとう、カナトさん…
ほっとしたら、瞳が少しだけ潤んだ。