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”思い出の海”へ行くと

りっちゃん、そしてりっちゃんと手をつないでいる私…をみつけた。

やがて抱きしめ合うりっちゃんとパラレルワールドの私…。

いろいろなことがあって、

だいぶこの訳の分からない状況をのみこんできたつもりでも

やはり自分とそっくりな人物がいるというのは、慣れない。

紗奈
りっちゃんから離れて。…紗奈

え、え、紗奈が2人??

りっちゃんが驚いてる。

…無理ないよね…。

パラ紗奈
紗奈…どうしてここに…

パラレル紗奈がつぶやくように言った。

紗奈
いいから、りっちゃんから離れて!

パラ紗奈
…嫌よ!私りっちゃんを愛してるの!!

パラ紗奈
りっちゃんがいない世界なんて耐えられない!!

りっちゃんをぎゅっと抱きしめるパラレル紗奈。
…涙を浮かべて…。

パラ紗奈
もう失いたくないの…

パラ紗奈
りっちゃんのいない世界は、嫌…!

紗奈
そ、そんなの…

紗奈
わたしだってりっちゃんがいない世界なんていやだよ…!!

パラ紗奈
……。でも

パラ紗奈
…あなたは別にりっちゃんと恋人同士じゃないって、ラビくんが言ってたわ

紗奈
ラビくんって…私とあなたの世界を交換した…?

パラ紗奈
そうよ

パラ紗奈
ラビくんに頼んで、あなたと私を交換してもらったの

紗奈
……

パラ紗奈
…あなたは自分の夢の為に、りっちゃんを放って東京に行っちゃったんだから、私がこの世界で、りっちゃん貰っちゃったっていいじゃない!!

紗奈
…別に…放ってなんか…

涙が出そうになる。
そんな言い方…しなくったって…。

私にとってだって…
大切な存在なのに…。

紗奈
形は違ったって…りっちゃんは…私の大切な人なんだよ…

ぽろぽろ、と涙がこぼれる。

紗奈
そんなに恋人の形って、大事なの…?

りっちゃんはなんの話?といった感じで

私とパラレル紗奈を見比べていた。

やがてゆっくりと口を開くりっちゃん。

…紗奈

なんか変だと思ったんだ…

急にその、キスして欲しいとか…

紗奈
……

最初は紗奈が2人…に見えたけど…

僕の知ってる紗奈は、君だね…?

りっちゃんは、私に向かってそう言った。

紗奈
(りっちゃん…分かってくれるの…?)

う、うーん…紗奈って双子だったっけ?

そんな話は聞いたことないけど…

紗奈
(はは…さすがに2人とも私だとは、思わないよね…)

パラ紗奈
……

 

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