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カナト
紗奈ちゃんの夢って、なに…?

カナトさんがふいにこちらを向くと

そう、優しく声をかけてきた。

紗奈
え?

突然夢の話題をふられ、少しびっくりする私。

紗奈
え、えと…

紗奈
私ね…ケーキ屋さんになるのが夢なんだ…

カナト
…そうなんだ

カナト
素敵な夢だね…

カナト
紗奈ちゃんなら、きっと叶えられるよ

カナトさんが優しく微笑む。

紗奈
……

紗奈
カナトさん…ケーキは何味が好き…?

カナト
ケーキ?

カナト
うーん…そうだね…。あまり甘くないチョコレートケーキとか…

紗奈
そうなんだ…

紗奈
今度手作りで作る!

紗奈
た、食べて、もらえますか…?

カナト
うん…待ってる…

花火の明かりに照らし出され、

少し照れくさそうに微笑んだカナトさんに

ちょっとクラッとなった…。

紗奈
(…カナトさん…)

紗奈
わ、わ、わ…

カナトさんにみとれていたら、
足をひねってバランスを崩してしまった。
そのままカナトさんに支えられ、
私はカナトさんの腕の中にすっぽりと入ってしまった。

カナト
大丈夫?紗奈ちゃん…

紗奈
う、うん…

次の瞬間…。

私はカナトさんの瞳に吸い寄せられ

目が離せなくなった。

カナト
……

カナトさんがそっと近づく。

瞳を閉じる私。

カナトさんの唇が…

私の唇に…触れる。

カナトさんの柔らかい唇の感触…。

そしてそのままぎゅっと抱き寄せられた…。

 

カナト
…好きだよ…紗奈ちゃん…

 

 

 

 

…それから後のことは正直あんまり覚えていない…。

多分「私も好きです」…とか言っちゃった気がする。

その後はぼーっとしながらも、手をつないで2人でカナトさんの家に帰ってきた。

 

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