しばらく空から追跡していると、車は住宅街に止まった。
男が車から出てきたので、私とりっちゃんはその近くの、男に見つからないような場所に着地した。
…男は人通りのない、細く薄暗い道に入っていく。
そして電信柱の影に身を隠すようにして佇んだ。
電灯の当たらない所にいるので
暗くてよくみえないが、何をしているのだろうか…。
紗奈
(何か…嫌な感じがする…)
そうした感じでしばらく時間が経過した。
と、そこに女性が一人通りかかる。
男は…
なんといきなりその女性に、襲い掛かろうとした。
紗奈
…!!
律
やめろ…!!
りっちゃんが男に体当たりをし、それを止めに入る。
女性
きゃあ…!
女性の叫び声。
男はふいにくらった体当たりに、ふらつく。
男
ぐぅ…
女性
え、あ、あなたは…!?
その女性は、男の知り合いなのか、ひどく驚いている。
男
くそ…
今度は女の人を守っていた、りっちゃんを刺しにかかる犯人。
紗奈
りっちゃん…!!
しかしりっちゃんは厚めの防刃ベストをきているのか、
ナイフは刺さらなかった。
男
な??
男
…く、くそ…
男は失敗したと思ったのか、全力で走り去る。
りっちゃんも走って追いかけようとするが
前に受けた傷が痛むようで、男にうまく追いつけない。
私もその後を走って追いかけるが…。
紗奈
(ど、どうしよう…逃げられちゃう。私…じゃ、男を倒せないだろうし…)
男は慌てて車に乗り込むと、
そのまま逃げだす…と思いきや、
こちらをめがけて急発進してきた。
紗奈
…!!
律
紗奈…!!
…りっちゃんが私を抱きかかえてそれをかわす。
…車にひかれるのは回避したが、私たちはそのまま地面に横倒しになった。
地面にぶつかり衝撃を受け、
体が思うように動かない。
律
紗奈!
りっちゃんが立ち上がり、私の体を起こす。
律
きっとまたこっちに向かってくる
私の手を引き、走りながらりっちゃんはそう言った。
紗奈
こわい…
律
大丈夫、紗奈…僕が、守るから…