2-32

しばらく空から追跡していると、車は住宅街に止まった。

男が車から出てきたので、私とりっちゃんはその近くの、男に見つからないような場所に着地した。

…男は人通りのない、細く薄暗い道に入っていく。

そして電信柱の影に身を隠すようにして佇んだ。

電灯の当たらない所にいるので

暗くてよくみえないが、何をしているのだろうか…。

紗奈
(何か…嫌な感じがする…)

そうした感じでしばらく時間が経過した。

と、そこに女性が一人通りかかる。
男は…

なんといきなりその女性に、襲い掛かろうとした。

紗奈
…!!

やめろ…!!

りっちゃんが男に体当たりをし、それを止めに入る。

女性
きゃあ…!

女性の叫び声。
男はふいにくらった体当たりに、ふらつく。

ぐぅ…

女性
え、あ、あなたは…!?

その女性は、男の知り合いなのか、ひどく驚いている。

くそ…

今度は女の人を守っていた、りっちゃんを刺しにかかる犯人。

紗奈
りっちゃん…!!

しかしりっちゃんは厚めの防刃ベストをきているのか、

ナイフは刺さらなかった。

な??

…く、くそ…

男は失敗したと思ったのか、全力で走り去る。
りっちゃんも走って追いかけようとするが

前に受けた傷が痛むようで、男にうまく追いつけない。
私もその後を走って追いかけるが…。

紗奈
(ど、どうしよう…逃げられちゃう。私…じゃ、男を倒せないだろうし…)

男は慌てて車に乗り込むと、

そのまま逃げだす…と思いきや、

こちらをめがけて急発進してきた。

紗奈
…!!

紗奈…!!

…りっちゃんが私を抱きかかえてそれをかわす。

…車にひかれるのは回避したが、私たちはそのまま地面に横倒しになった。

地面にぶつかり衝撃を受け、

体が思うように動かない。

紗奈!

りっちゃんが立ち上がり、私の体を起こす。

きっとまたこっちに向かってくる

私の手を引き、走りながらりっちゃんはそう言った。

紗奈
こわい…

大丈夫、紗奈…僕が、守るから…

 

>>