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朝起きたら、自分の部屋で、

今までのことは全て夢だったんじゃないかとも思ったけれど、

目が覚めると、そこは昨晩泊まったホテルだった。

紗奈
(夢、じゃ…なかったんだ)

 

朝食を食べにホテルのレストランにいくと、

そこにはカナトさんの姿があった。

紗奈
おはよう…ございます

カナト
おはよう、昨日はよく寝れた?

紗奈
うん…

紗奈
あ、朝ごはん、急いでとってくるから、一緒に食べたいな

カナト
うん、それじゃ待ってるよ

にこっとほほ笑むカナトさん。

 

私はレストランでカナトさんと一緒に朝食をとった。

紗奈
(…昨日あったばかりなのに、なぜだか不思議と安らぐ)

訳の分からない現象が起きてて、心細くて…

これが現実だっていうのはすごく不安だけれど…。

それでも、カナトさんが夢じゃなくて

現実に存在している人で、よかったって思った。

紗奈
カナトさん、本当にありがとうございます

カナト
…いや。…それより君は、これからどうするの?

紗奈
ん…

紗奈
(この人に、全部話してみようか…?)

紗奈
(…でもなんて伝えれば…)

紗奈
(私も、いまだに何が起こっているか全然分からないのに…)

紗奈
あ…の、目が覚めたら家の家具が全て無くなってて

紗奈
私のこと知ってる人が誰もいなくなったって言ったら、信じますか…?

ちょっとびっくりするカナトさん。

紗奈
(…やっぱり、信じてもらえないよね…)

カナトさんは何かをいろいろ考えているみたいだった。

紗奈
(…変な子だと思われたかな…)

カナト
その、みんなって、本当にみんな…?

紗奈
え…?

カナト
君の事、知ってる人がいなくなったって話…

紗奈
…信じてくれるの…?

カナト
…とりあえず、続き、聞くよ

紗奈
(…聞いて、くれるんだ…)

紗奈
…えと…

紗奈
知らないって言われた人は、大家さんと、後、最近知り合った友達…とか、そんな感じかな

カナト
そうか…

紗奈
携帯電話もお金もなくて…親とかもっと親しい人には連絡できなかったから…

カナト
…なるほど…

携帯電話を差し出すカナトさん。

カナト
とりあえず、親に電話、かけてみる…?

紗奈
え?う、うん…

紗奈
(カナトさん…信じてくれてるのかな…)

カナトさんに言われ、親に電話をかけてみることに。

いつもは携帯の電話帳からかけているので

電話番号がなかなか思い出せない。

紗奈
(えっと…なんだっけ?)

紗奈
(ん、多分この番号…)

ちょっと不安ながらも、実家にかけてみる。

…しかし繋がらない。

カナト
繋がらないのか…?

紗奈
…うん

紗奈
…そうだりっちゃんにも、かけてみよう

紗奈
(えっと、りっちゃんの電話番号は確か…)

なんとか記憶を手繰り寄せ、

これだという番号をプッシュしていく。

電話の声
『ピンポンパンポーン』

電話の声
『お電話、ありがとうございます。この電話番号は、現在使われておりません。番号をお確かめの上、もう一度…』

紗奈
え…?あれ?番号、間違えちゃったかな…?

紗奈
…うーん…この番号だと思ったんだけれど…

紗奈
…だめだ、思い出せない

カナト
……。繋がらないのか…?

紗奈
…うん…。…どうしよう…

カナト
……

カナト
今から君の地元に、直接行ってみるとかは…?

紗奈
えっ…?

思わぬ言葉にびっくりする私。

紗奈
じ、地元って…

紗奈
ここから新幹線でも2時間以上はかかるよ?お、お金もかかるし…

紗奈
…さすがにこれ以上カナトさんに迷惑は…

カナト
うーん…でもここで別れるのもなんだか心配だしな…

カナト
まだ何も解決してないし…

紗奈
(カナトさんはこう言ってくれてるけれど…)

紗奈
(あっ…)

紗奈
そうだ!実家に帰ればお金、カナトさんにお返しできるかもしれないので、私、実家に行ってみることにします

カナト
…わかった

 

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