体を持ち上げられ、
どこかの冷たい床に降ろされる。
そして目隠しや口に付けられていた何かが外されると、
あごをくいっと持ち上げられた。
紗奈
(何…?顔を見ているの…?)
こわさのあまり、思わず顔を背けそうになる。
紗奈
(だ、だめ…寝てるふり…)
あごをくいっと持ち上げた”誰か”は私から手を離すと、
ガサゴソと荷物をあさりだした。
…手元がキラリと光る。
私はゴロゴロと転がり、不格好によけた。
男
起きていたのか…
男性の…低い声…
顔は隠している。
転がって、少し離れてみたものの、手足を縛られている以上、
逃げ出すことも出来ない…。
心臓は激しく音をたてていた。