次に向かったのはバイト先であるカフェだ。
といっても、ここで働いていたのはここの世界の紗奈だけで、
私はここでは働いておらず、店の人は皆初対面だった。
紗奈
(…うーん…初対面だけど何か分かることあるかなぁ…)
カフェは個人経営のお店らしく、
おしゃれだが、店内はそこまで広くない。
テーブルとテーブルの間隔も、
2人で横に並んで歩くのはためらわれる狭さだ。
とりあえず中に入り、話を聞くことに。
奥の方へと案内されたその時、中から出てきたお客の一人と
どんっとぶつかってしまった。
男
あ、すみません
男性の声。
と、同時に、
ぶつかった衝撃で帽子がずれ、サングラスが外れる。
紗奈
きゃ…
私はあわててそれを拾うと、ささっと顔に付け直した。
紗奈
(危ない危ない…りっちゃんのだからちょっとゆるめなんだよね…)
チラッとぶつかった人を見る私。
紗奈
す、すみません…
とりあえず声をかけてみる。
ぶつかった人…”男性”は…
私の方をみて、驚いている…ようにみえた。
男
あ、ああ、いえこちらこそ…
そういうと男性はそそくさと出口に向かい、扉を開けると、
外に出ていった。
紗奈
(…なんだろう…今の人、私の顔をみて、動揺してた…?)