2-11

次に向かったのはバイト先であるカフェだ。

といっても、ここで働いていたのはここの世界の紗奈だけで、

私はここでは働いておらず、店の人は皆初対面だった。

紗奈
(…うーん…初対面だけど何か分かることあるかなぁ…)

カフェは個人経営のお店らしく、

おしゃれだが、店内はそこまで広くない。
テーブルとテーブルの間隔も、

2人で横に並んで歩くのはためらわれる狭さだ。
とりあえず中に入り、話を聞くことに。

奥の方へと案内されたその時、中から出てきたお客の一人と

どんっとぶつかってしまった。

あ、すみません

男性の声。

と、同時に、
ぶつかった衝撃で帽子がずれ、サングラスが外れる。

紗奈
きゃ…

私はあわててそれを拾うと、ささっと顔に付け直した。

紗奈
(危ない危ない…りっちゃんのだからちょっとゆるめなんだよね…)

チラッとぶつかった人を見る私。

紗奈
す、すみません…

とりあえず声をかけてみる。
ぶつかった人…”男性”は…

私の方をみて、驚いている…ようにみえた。

あ、ああ、いえこちらこそ…

そういうと男性はそそくさと出口に向かい、扉を開けると、

外に出ていった。

紗奈
(…なんだろう…今の人、私の顔をみて、動揺してた…?)

 

>>