3-38

私はさっそくカナトさんと一緒に、あの”閉ざされた町”に向かった。

町には、ごくありふれた日常が広がっており、

電車やバスの行き来も復活していた。

紗奈
(よかった…)

颯太君の家の近くまでいくと

3人の子供達の姿を見つけることができた。

紗奈
あ、颯太君達だ…

紗奈
…声、かけてみようかな…

カナト
待って、紗奈ちゃん

カナト
…多分話しかけても、紗奈ちゃんのことは分からないよ

紗奈
え…?

カナト
悪魔に囚われていた時間、閉じられた町の記憶は、消えてしまっているはずだから…

紗奈
…そう、なの…?

カナト
うん…

紗奈
……

カナト
たまに思い出しても、怖い夢をみたと思うくらいじゃないかな…

紗奈
……

紗奈
そっか…

私は、3人が庭で仲良く遊んでいるところを遠目にみた。

紗奈
(私の事…忘れちゃったのか…)

紗奈
……

紗奈
大切な人を失ってしまって、きっととても苦しかったと思うけど…

紗奈
3人はいつまでも仲良く、幸せに暮らしてほしいな…

私はぽつりとつぶやいた。

カナト
…そうだね

 

 

 

 

 

第三部不思議な町編【完】

夏の始まり編に続く

 

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