1-7

そんな感じで私は新幹線で京都に向かうことにした。

信じられないことに、あの後、なんだかんだで、

カナトさんも京都についてきてくれることになった。

紗奈
(…昨日知り合ったばかりだというのに、すごい展開だ…)

紗奈
(…ところでカナトさん、仕事…とかは大丈夫なのかな…?)

ちらっとカナトさんをみると

すうすうと寝息をたてて寝ていた。

紗奈
(あれ…無防備だな…)

紗奈
(いくら私が女の子だからって、昨日あったばかりなのに、無防備すぎだよ?)

って、こころの中でつぶやいてみる。

パチっと目を覚ますカナトさん。

紗奈
わわっ…

私はあわててカナトさんから目を離した。

 

 

京都駅に到着。

この辺はもう私の庭みたいなものだ。

紗奈
それじゃ、私の実家に歩いて帰るね

カナト
わかった

もうすぐ家だ、というとき、

りっちゃんのお母さんを見つけた。

紗奈
あっ、りっちゃんのお母さん!

カナト
知り合いか?

紗奈
うん、幼馴染のりっちゃんのお母さんなんだ。私、声かけてくる

カナト
じゃあ俺はここで待ってるよ

紗奈
わかった

紗奈
おばさんおばさん、お久しぶりです

おばさん
え…?

びっくりするおばさん。

紗奈
(…まさかおばさんも私のことが分からないの…?)

おばさん
紗奈ちゃん、どうしたの…?

紗奈
あっ!私のこと分かるんですか?

おばさん
え、えぇ…

おばさん
どうしたの、なんだか紗奈ちゃん変よ

紗奈
え、え、そうですかね?

おばさん
…律に…会いに来てくれたの…?

紗奈
はい…!

おばさん
じゃあ今日も家にあがっていく?

紗奈
え?あ、はい…

…なんだかおばさんの様子がおかしい。

顔色もなんだか悪いみたいだし…

少し、痩せた…?

おばさん
どうぞ、あがってくださいな

おばさん
いつもお線香あげにきてくれて、ありがとうね

紗奈
(え…お線香って…一体なんの話…?)

紗奈
(…なんだか変な空気…。りっちゃんは…どこ…?)

案内された部屋にりっちゃんはいなかった。

変わりに静寂に包まれた部屋に…

りっちゃんの写真…。

そしてりっちゃんの写真の前には…お線香が…。

紗奈
(うそ…うそ…)

くらっとめまいがした。

おばさん
去年の夏だから…もういなくなってから…一年半もたったのね…

紗奈
おば…さん…?

紗奈
(おばさんは、当たり前だけど冗談でこんなことやる人じゃない)

紗奈
(じゃあなに…?)

紗奈
(この目の前に広がっている光景は…なに…?)

動揺を隠し切れない私。

おばさん
紗奈ちゃん…?

おばさんがこちらをみて少し戸惑っているのを感じる。

…自分の体から、どんどん血の気が引いていくのが分かった。

紗奈
ごめんなさいおばさん…私…帰ります…

私はふらふらと玄関に向かう。

おばさん
紗奈ちゃんどうしたの…?

おばさんの呼ぶ声もかまわず、私は家の外へと飛び出した。

 

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