電灯でかすかだが背格好が見える。
人影…
多分”男”…は中肉中背。歳は…ちょっと暗くてよくわからないが、
りっちゃんよりは上…な気がした。
男はそのまま逃げ続けると思ったが、道が行き止まりだったのか
急に方向転換し、私とりっちゃんの方に向かってきた。
律
…!!
もみあう男とりっちゃん。
りっちゃんは男を投げ飛ばす。
男
かはっ…
紗奈
(ど、どうしよう…どうすれば…)
紗奈
だ、誰か…誰かきてください…!!
走ってきたのと、
胸がバクバクいっているせいで、
声がうわずってしまう。
紗奈
(そ、そうだ、緊急用のブザー…)
私は防犯ブザーを取り出し、それを鳴らす。
辺りにブザーの音が鳴り響く。
律
うっ…
りっちゃんのうめく声。
りっちゃんの脇腹から、血が滴る…。
紗奈
りっちゃん…!?
律
だめだ紗奈、来るな…!!
絞り出すようなりっちゃんの声。
男は私を突き飛ばし、その場から逃げ出した…。
…私はりっちゃんに駆け寄った。
もみ合っていた男は、ナイフでりっちゃんを…。
紗奈
りっちゃん…りっちゃん、しっかりして…!!