2-16

電灯でかすかだが背格好が見える。
人影…

多分”男”…は中肉中背。歳は…ちょっと暗くてよくわからないが、

りっちゃんよりは上…な気がした。

男はそのまま逃げ続けると思ったが、道が行き止まりだったのか

急に方向転換し、私とりっちゃんの方に向かってきた。

…!!

もみあう男とりっちゃん。
りっちゃんは男を投げ飛ばす。

かはっ…

紗奈
(ど、どうしよう…どうすれば…)

紗奈
だ、誰か…誰かきてください…!!

走ってきたのと、

胸がバクバクいっているせいで、

声がうわずってしまう。

紗奈
(そ、そうだ、緊急用のブザー…)

私は防犯ブザーを取り出し、それを鳴らす。
辺りにブザーの音が鳴り響く。

うっ…

りっちゃんのうめく声。

りっちゃんの脇腹から、血が滴る…。

紗奈
りっちゃん…!?

だめだ紗奈、来るな…!!

絞り出すようなりっちゃんの声。

男は私を突き飛ばし、その場から逃げ出した…。

 

…私はりっちゃんに駆け寄った。

もみ合っていた男は、ナイフでりっちゃんを…。

紗奈
りっちゃん…りっちゃん、しっかりして…!!

 

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