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その時ふと、”背表紙が真っ黒な本”が目にはいった。

紗奈
(…何これ…)

本棚から取り出してみると、表紙も、裏表紙も、外側全てが真っ黒だった…。

その本が何故かとても気になり、パラパラと数ページめくってみる。

そこには文字は解読できないが、

謎の儀式のようなもののイラストと、

悪魔…のようなイラストが描かれていた。

紗奈
(こんな本は…私…知らない…。一体誰のものなの…?)

紗奈
(この部屋は…誰のもの…?)

誰かの声
あはあは…おっかしーっ!!

紗奈
だ、だれ!!

聞き覚えのない声にビクッとなる。

少年
僕?

少年
さあ?誰でしょう

後ろには今、声を発したらしき謎の少年。

只ならぬ気配。謎の威圧感。

そしてみたことのない衣装…。
何よりも奇妙なことに…。

その人物は…黒い翼をはやし、宙に浮いていた…。

紗奈
……!

紗奈
だ、れ…?

私は少し、後ずさりしながら声を出す。

窓も、部屋の扉も閉まっているのに…。

紗奈
どこから…入ってきたの…?

少年
クスクス。いいね、その反応

少年
実はさ、この部屋に、ずーっといたんだよね。姿を消していただけで♪

紗奈
……

少年
こっちの世界の君もさ、最初は、すごーくびっくりしてたよ

少年
自分で呼び出したのにね

紗奈
え…

少年
僕はラビス。ラビって呼んでね♪

紗奈
……

ラビス
あー大丈夫こわがらなくていいよ

ラビス
いきなり魂抜いたりなんかはしないからさ

ニコニコと笑みを浮かべる。

紗奈
どういう…こと…?

ラビス
ん?今の状況ってこと?

紗奈
……

ラビス
教えて欲しいの?

紗奈
…あなたが関係しているの…?

ラビス
うん、そうだね

紗奈
……

ラビス
いいよ、教えてあげる

ラビス
僕がさ、この世界の紗奈ちゃんと、君を交換したんだ♪

ラビス
要するに、住む世界をとっかえたってことね

紗奈
(な、に…?)

視界がグラっとなる。

ラビス
おっと、危ない危ない

ふらつく私を、ラビスと名乗った少年に支えられる。

紗奈
さ、さわらないで!!

少年の手をはねのける私。

ラビス
ふーなんか、すっごく嫌われてるなぁ

ラビス
まあ君とは初対面だからこんなものかぁ…

紗奈
……

ラビス
こっちの世界の紗奈ちゃんとは、実は結構仲良しなんだけどね

紗奈
……

ラビス
よいしょっと

ベッドに座るラビ。

ラビス
ん?まだよく分かんない?

紗奈
……

ラビス
つまりね、ここは君にとって、君の世界じゃない、パラレルワールド世界なんだよ

ラビス
まあ君とここの世界の紗奈ちゃんは、そこまで大差ないけどね

ラビス
まあ、あえて違いをのべるとしたら、こっちの世界では律が死んでて、紗奈ちゃんは東京には行かずに地元に残ったってことかな

紗奈
……

頭がついていかない…。

…”パラレルワールド世界”…?

…でもそうだとすると、

いろいろな不可解な現象に…。

説明がついてしまっている…。

紗奈
交換って…どうして…?

紗奈
私は…元の世界に戻れるの…?

ラビス
んー紗奈ちゃん次第かな

ラビス
あ、こっちの世界の紗奈ちゃんのことね。僕はこっちの世界の紗奈ちゃんと契約したんだよね

ラビス
僕に、死んだら魂をくれる代わりに、律の生きている世界に行きたいって。そんな感じ

ラビス
まあ要するに肉体が滅びたら、紗奈ちゃんは僕のモノってことだね♪

紗奈
……

ラビス
だからさ、今のところは戻れないって感じかな?ふふふ

紗奈
…私の意思はどうなるの…?

紗奈
私だって…りっちゃんが死んでる世界なんて…嫌よ

紗奈
私を元の世界に戻して!!

ラビス
え、何?僕と契約するの?

紗奈
し、しないわ。するわけないでしょう?

ラビス
だよねぇ。じゃあ無理だね

紗奈
……

ラビス
ところでさ、この世界の紗奈ちゃんと、君って

ラビス
実は無関係のようでいて、繋がってるんだよ?

紗奈
え…?

ラビス
僕は君を…少しだけだけど操れる

紗奈
……

ラビが
そういったとたん。

私は金縛りにあったように動けなくなった。

 

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