突然、背後に人の気配を感じた。
びくっとなる私…。
バッと振り向くと
真っ白のフードの人物がたっている。
背格好からして男性のようだが…。
紗奈
(…だ…れ…?)
紗奈
(カナトさん…じゃない…。…シュウトくんでも…)
紗奈
あなた…誰…?
紗奈
…カナトさんは…
男
……
男
カナト…前任のことか…
男
前任なら、もうここにはいない
紗奈
え…?
男
……
男
星崎紗奈、君は…
男
悪魔から引き離し、パトローラーとパラレルの記憶を失くすことで、許そう
紗奈
え…?なに……
男
星崎紗奈
男
かわいそうだが君の記憶、奪わせてもらう
紗奈
え…記憶って…
紗奈
カナトさんのことを…?
男
そう
男
パトローラー関係のこと一切、記憶を奪わせてもらう
男
前任も…君には相当甘かったみたいだね…
紗奈
え、そんな…
紗奈
いやだ、忘れたく、ないよ…
紗奈
……
私は走って逃げようとした。
…しかし私の腕は既につかまれており、そのまま壁に押さえつけられた。
紗奈
…や、やだ…お願い…やめて…
紗奈
カナトさんのこと…みんなのこと…今まであったこと…忘れたく、ないよ
男
……
一瞬だけ合った瞳は…
とても冷たく、氷のようだった。
紗奈
うっ…
押さえつけられた場所から
何か体に鋭い衝撃が走ったかと思うと、
私の体は突然ガクンとなり、全く力が入らなくなった。
紗奈
や…だ…
私の瞳から、涙があふれ出す。
紗奈
(やだ…やだよ…)
紗奈
(カナトさん…忘れたく…ない…)
…遠のいていく意識に、白フードの冷たい手の感触だけが…
体に残っていた…。
第三部【完】
第四部に続く