紗奈
りっちゃん、よかった、刺された傷、だいぶよくなったんだね
律
うん
律
紗奈、優しく看病してくれたしね
紗奈
へへ…
律
ん…それじゃ…
律
…事件も解決したし…。お別れだね
紗奈
えっ…お別れ…?
律
…うん
律
…ラビが言うには、こっちの世界にはこっちの世界の僕もいるし、僕がここにいると、どんどん世界が歪んじゃうらしくて…
律
紗奈にも、あまりよくない影響がでる可能性もあるらしいから…
紗奈
……
律
僕は、元の世界に、戻るね
律
…もう一生会えなくなる訳じゃないと思うけど…
紗奈
……
そう言うと、りっちゃんはさみしそうにほほえんだ。
紗奈
…りっちゃん、ありがとう。…助けに、来てくれて…
私の瞳から、涙がぽろぽろと零れ落ちた。
律
…!
律
……紗奈…
ぎゅう…っと抱きしめてくるりっちゃん。
紗奈
…りっちゃん…
律
さな…。さな…。本当に…本当に元気で…
紗奈
…うん…
紗奈
りっちゃんも、元気でね…
律
……
律
やっぱりパラレルワールドっていっても…自分の世界で愛した人に…惹かれないわけはないんだよね…
紗奈
……
律
……
律
ねえ、こっちの世界の僕と”僕”ってなんか違ったりする?
りっちゃんは抱きしめていた腕をそっと離すと、
私を見つめてそういった。
紗奈
う、うーん…
紗奈
なんだかあなたは、こっちのりっちゃんより男らしい感じするな
紗奈
近い世界だって言ってたけど、なにか違うことあるのかな?
律
えっ…?どうだろう…
律
こっちの律は学生で、僕は働いてて、社会を知ってるから…とか?
ラビス
え、きっとあれだよ、あれあれ!紗奈ちゃんと両想いだったからじゃないかなー?
ラビス
大好きな人と両想いになれれば、自信も出るし、パワー出せるし
ラビス
大好きな人をもっと幸せに、って、守れるようにってこころも強くなっていくもの…って、契約しそこねた誰かが言ってたよ♪あは
律
両想い…か…
律
……
律
…そうかも、しれないね
りっちゃんはつぶやくように、そう言った。